2013年5月7日火曜日

トヨタの売上高推移とグラフ


このページでは、トヨタ自動車の2000年以降の売上高と純利益の推移について分析していきます。まず、トヨタ自動車の売上高及び利益のピークは、 2008年度でした。

2008年度のトヨタの売上高は24.8兆円、純利益は1.7兆円にものりました。もちろんこの業績は、世界の自動車メーカーの中でも最大のものです。しかし、リーマンショックの影響を受けた2009年度、トヨタ自動車の業績は急変します。売上高は5兆円以上も減り、純利益についてはなんと赤字に転落しました。まさに天国から地獄へ転落したかのような急変ですね。


ここまで業績が急激に悪化した理由は、主に会計上の問題です。リーマンショックを受けて、世界の景気が急激に悪化したため、世界中で自動車の販売台数が急激に落ち込みました。また、急速な円高が進んだため、トヨタ自動車の想定レートを大きく上回っていたことも、赤字転落の大きな理由です。そしてトヨタ自動車では、リストラを急速に進めたり、減損処理を前倒しで行ったため、 2009年に一気に赤字になったのです。その証拠に、 2010年度の決算では、売上高はほぼ横ばいにもかかわらず、黒字に転換しています。

2009年以降のトヨタ自動車は、プリウスを中心に販売台数を伸ばしていますが、利益率が決して高くありません。プリウスは、 同じハイブリッドカー であるホンダのインサイトとの競争のため、従来よりも大幅に安い価格で繰り出さざるをえなかった事が理由です。元々プリウスの定価は約260万円でしたが、同じハイブリッドカーであるホンダの新型インサイトが、189万円という遙かに安い値段を打ち出した事で、事態は急変します。トヨタも価格対抗せざるを得なくなり、プリウスを205万円からという「大幅値下げ」を余儀なくされたのです。

しかし、トヨタにとって売価の低いプリウスばかりが売れて、レクサスやクラウンのような高級車の売れ行き芳しくありません。これでは、2008年のピーク時の売上高&利益率を回復するのは難しいでしょう。

現在、世界の自動車販売台数でトヨタ自動車はトップですが、利益率はかつてのような高さを取り戻せてはいません。2012年度決算のトヨタの売上高は17兆5千億円と、この3年間はほぼ横ばい水準です。確かに1ドル=70円台という未曾有の円高がネックだったのは事実で、民主党政権や日銀に足を引っ張っぱられた格好です。トヨタ自動車は、売上高の海外比率が約70%なので、為替が円高だとダメージは非常に大きくなります。

そして何より、トヨタの株主にしてみれば、販売台数が伸びること自体はさほど意味なく、利益率が伸びることこそ重要です。プリウスや、その後継機種であるSAIなどがいくら売れでも、売上も利益率も低いので、株主にとっては決して良い状況ではありません。トヨタの株主は、もっと利益率の高い車をたくさん売ることを求めています。